Longs Peak (4,340m) The Diamond壁

職場のクライミング仲間とコロラド州にあるロッキー山脈最高峰のロングスピーク(4340m)東壁(通称ダイヤモンド)を登ってきました。
高所に極端に弱い自分にとってこの標高でのフリークライミングはかなりの挑戦でしたが、どうにか登ることができました。今回チャレンジした「D7」は5.11a、11cを含む全7ピッチ(約250m)、壁の中央左を一直線に上がるほぼ垂直のルートです。さすがに核心の5.11c(しかも39m!)はOSなど出来ようはずもなく、残念ながらテンションまみれ。ただ、こなせないムーブはなく、平地にあれば3回くらいでRP出来そうな手応えはありました。この標高でこういうのをサクッとOS出来たらクライミングの幅が広がるんでしょう。
登る時期としては、シーズンラストだったようで、取り付くまでの夜明け前が3℃位。登攀中が9℃位でした。午前中11時頃までは陽が当たるので暖かいのですが、日が陰ってからはビレイ中は防風ジャケットがないと寒く感じました。われわれの登った日で好天の周期が終わるのが分かっていたので、登っている最中も終始時間に追われている感覚があり、そういう意味ではアルパインチックなクライミングでした。実際、登った翌日は下の町で結構な雨だったので山の上はおそらく雪だったでしょう。
気の合う仲間とのクライミングトリップはやはり楽しいものです。また次の目標を見つけて挑戦を続けていきたいものです。

●行動概要
9/15 デンバー着・山麓の街エステスパーク入り
9/16 ノーマルルートから荷上げ(水4.5ℓ他)兼順応登山

9/17 PM空港でパートナーを迎えて入山。ボルダーフィールド(3850m)にてビバーク(22:00着)。
9/18 4:00スタート、下降点6:00 登攀(8:00~17:50),cable route下降、ビバーク地へ(19:30着)
9/19 下山 
9/20 ボルダー渓谷にてクライミング
9/21 ボルダー渓谷にてクライミング・23:00デンバー発

~参考データ

・気温:山麓では25℃、入山口で22℃、壁で10℃弱。昼夜、日向日陰で寒暖の差が激しい。
・ビバーク許可証(wilderness permit):山中でのビバークには許可が必要でエステスパークの公園管理事務所で取得(泊数問わず1パーティ$26)。
・ギア:「D7」に関してはエイリアン青~キャメロット#3までを2セット(#4は使っても1~2回)、ヌンチャク7本程度(残置ハーケン多数)、スリング少々。

・ロープ:メイン60m+懸垂下降&荷上げ用の細ロープ60m
・テーブルレッジから頂上:本チャンの3級位でロープ不要
・ビレイ点:各ビレイポイントはハーケン&ナッツでしっかり構築されており同ルート下降も可。
・下降路(cable route):かすかな踏み痕はあるが、暗かったらおそらく下降不能。シングル2pの懸垂あり。
・ウェア:長袖毛下着+Tシャツ+防寒着(パタゴニアR1フーディ+ウィンドジャケット)、雨具(上)、軍手、防寒薄手ダウン(二人で一着持参したが使用せず)
・水:二人で1ℓ(山中に水場なし。下から担ぎ上げる要あり)

・EPIガスカートリッジ:エステスパークのアウトドアショップにて購入可($9)

(記 宇都宮)

ChasmLakeから見上げるThe Diamond

ダイヤモンド取り付きから

3p目

鹿島槍ヶ岳東尾根

3月31日に単独日帰りで鹿島槍東尾根に行ってきました。

好天に恵まれ、残雪期の山を楽しめました。

前日30日の夕方、高瀬川沿いの道を北上すると正面に鹿島槍が見えてくる。

久しぶりに山に対峙してドキドキするのを感じた。

早朝(深夜?)1時前に大谷原を出発(大冷沢の橋まで車で入れた)

最初から雪の上の歩行。

15分ほど歩くとS字カーブの先の道路左側の注意書きの道標と、右側の急斜面の木にピンクテープが巻いてある東尾根の取付きに着く。

登り始めは雪が無く、踏み跡もあいまいで木を掴むなどして、しばらく登ると雪が出てきて幾分歩きやすくなった。

十四夜の月明かりに照らされて、ひたすら急登を行くと、ぱっと周りが開けて一の沢の頭に出る。

ここでアイゼンを履き、右側の雪庇に気をつけながらアップダウンを繰り返して、6時前に第一岩峰の基部に到着。ここでハーネス、ヘルメットを装着。

幕営した跡が三張り分あった。

ちょうど第一岩峰に取付いたばかりの3人の先行パーティがいるが、横から抜かせていただいた。夕べは第一岩峰の基部に泊まったそうだ。

第一岩峰の雪壁は締まっていて、とても快適。

ここを抜けたところから第二岩峰までの左上する雪壁が露出度が高く傾斜もあり、一番緊張した。

第二岩峰基部には7時着。

第二岩峰はチョックストーンのあるチムニー部が核心だが左側にアイゼンの爪が掛かる所があり難しくは無い。Ⅳ-くらいか。

ここを抜けると後は頂上まで雪壁とナイフリッジになり、難しい箇所はない。

8時過ぎに鹿島槍北峰に到着。他には誰もおらず、3人パーティーもまだ見えない貸切りの頂上をしばし満喫。剣岳がカッコイイ。

まだ時間も早く、雪面がクラストしているので、吊り尾根最低鞍部から北股本谷を下降する。

下り始めはかなりの急斜面。1時間ほど下るとデブリ帯を抜けて一安心。

しかし鎌尾根の末端あたりから膝くらいまでもぐるようになり、時間が掛かった。

これから鎌尾根へ行くと言う学生風の3人組と会ったが、こんな時間から雪崩の可能性がある沢筋に入って行くと言うのが、ちと引っかかった・・・

10時半ころ、赤岩尾根末端部を通過、12時前に大谷原へ戻った。

午前10時頃を過ぎると雪が腐って歩きにくいと言う話を聞いていたので、早い時間に歩き始め、雪が締まっている内に高度を稼いだのが良かったと思う。

締まった雪壁と花崗岩のミックスがとても楽しめました。

熊谷

第一岩峰

第二岩峰

第二岩峰上からの爺ヶ岳と槍穂高(右奥)

 

南峰(左)と北峰

北峰頂上からの南峰と剣岳

北股本谷と鎌尾根方向を振り返る

下山後

 

北海道 カミホロカメットク

北海道の上ホロカメットクに行ってきました。予想を上回る寒さでした。
●期間 3月5~8日
●メンバー 山野井、宇都宮

3/6(ガス、風雪) 化け物岩左ルート
  カミホロ正面壁に行こうとしたが、視界が悪くて山が全く見えない。この際、なんでもいいからとりあえず一本登りましょうということで、沢の対岸に一瞬見えた化け物岩左ルートに転進。
3ピッチ目は気休めのイボイボ以外プロテクションがほとんど取れず、怖い思いをした。視界がなく、地形が分からないのでスマホのGPSを使ってどうにか下山した。
3/7(ガス、風雪)カミホロ正面壁中央クーロワール
寒波が来ていて昨日から氷点下25℃、風速15mという状態が続いていたが、予報では次第に冬型も緩んでくるようだ。少し出発を遅らせていくが、やはり山は見えない。おまけに地形も複雑でよく分からないときてる。安政火口で天気待ち(8:00~9:30頃)をしたが一向に晴れてこないので、適当に見当をつけて尾根に取り付くことにした。と、一瞬ガスが取れて隣りの尾根が正解と判明。急いで詰めあがり、とんでもない寒さと強風の中、11:00過ぎに中央クーロワールに取り付く。すでに足の感覚はない。山野井さんの顔を見ると眉間に氷が張り付いている。取ってあげると皮まで剥がれてしまったようだ・・・。ごめんなさい。このルートも難しくはないがまともなプロテクションは取れなかった。13:40頃、稜線に抜けるとどうにか歩ける程度の風。視界も100m位はあるので稜線回りで降りることにした。同ルート下降を想定していたので時間短縮のために最終ピッチに終了点等を残して来てしまったことを激しく後悔する。
「下降ルンゼ」に逃げ込み、どうにか駐車場まで無事帰りつくことができた。
 
 初めてのカミホロは厳しくも楽しかったです。源泉かけ流し付きの自炊宿も最高でした。10年ほど前に行ったベンネビスを思い出しました。次は三段ルンゼや八つ手岩も行きたいものです。
~備忘録~
レンタカー:¥13000(4日間)
宿泊(白銀荘):¥2700/日
ガス代+高速代:¥6400
千歳空港~ 白銀荘:3時間
(宇都宮 記)

化け物岩を見上げる

化け物岩左3P目

正面壁登攀後

明神南面

明神岳に宇都宮とその友人、私の3人で登りに行きました。

2月2日 岳沢登山口付近にテントを設営、当初予定していた南壁ルンゼは氷が薄そうなので、計画を変更しS字状ルンゼから明神岳主稜線に登ることにした。

2月3日 午前4時テント場を出発、途中明るくなるまで45分?程休憩を入れたが8時15分にはS字状ルンゼを抜けた。クライミング内容は難しい個所もなく快適そのものだった。明神岳主稜線へは樹林の中のラッセルと急な草付を登った。強い風の吹く稜線に10時10分に到着、その後、岳沢南西側へルンゼを適当に懸垂下降を含め下山、テント場で昼食のラーメンを食べた後、自転車で釜トンネルへと下りた。

↑ 赤い線が登攀ライン

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

個人的には体調を崩していたが頼もしい友人のおかげで、楽しく登ることができた、また最近は山の中腹だけをゲレンデ的に遊ぶことが多いなか、今回のように稜線まで登り周遊して帰ると、技術的には易しくても充実感は大きいなと感じた。

(記 山野井)

 

丹沢西沢本棚沢の隣の大滝

9月3日(日)に遠山、大沼(準会員)であまり記録の無い大滝を登って来ました。                                             去年、塚田さんと西沢本棚沢の大滝を登った帰りに隣にある大きな枯滝も目に入り記憶に残っていた。                                                                     今年の夏は雨が多く2人で計画した山行は、ことごとく中止になり少しモヤモヤ?イライラ?していた。

ならばと雨の日は沢に行こうと山行を考えていると去年見た滝を思い出し、もう一度登れるか見に行きたいと思うようになった。あの滝は登られているのだろうか?と調べるとインタネットでは記録が出てこないので雨の日に2人で下見に行き、その時に西丹沢自然教室で聞いた際は登られてないと思うと聞いた。

下見をした時は水量が多く残置も見当たらず登れそうなラインを検討して帰宅した。9月最初の予定していた山行も台風の影響を考慮して中止になり、ならばと今回の山行に至った。現地に着くと明らかに水量が前回より 少なくこれならば何とか行けそうだと話し、再度慎重にラインを見ると何とリングボルトが見える。少しヤル気を失いかけたが腐食具合からいっても相当登られてない雰囲気。折角きたしやろう!と話して 1ピッチ登ると何とハンガーボルトがあり嫌な気持ちになりつつ2ピッチ目を登り始めるといきなりの垂直。   度肝を抜かれ落ちそうになりながらも乗り越すと予想を上回るスラブと悪い草付き。

登れると読んだラインに10メートルに1本位ある相当に古い昔のハーケン。それを見た時に先人と同じラインを選んだ自分は少しは山を見る目も成長したのかなぁ?と思いながらも今よりも装備も悪い中で登った先人の魂と能力に脱帽をしました。

合計4ピッチ。どのピッチもそう易々とはいかず墜落に耐えられるランニングはあまり取れない中ビレイ点だけはしっかりと作ろうと時間を掛け慎重に登りました。

本来は枯滝なので、枯れていればもう少し楽なのかも知れませんが自分の能力では難しく感じました。しかし、雨で予定した山行が出来ないながらも妥協での山行ではなく狙っての成功は嬉しかったです。

使用ギア。マスターカム00〜キャメロット2番サイズまでとリンクカムなど。ハーケン数種類10枚持参。 その他懸垂下降用の捨て縄数m。

インドヒマラヤ ルーチョ東壁

インドヒマラヤ J&K州 ザンスカールの未踏峰で無名峰の標高6000mに山野井、古畑でアルパインスタイルで登頂して来ました。

7月17日 エアーインディアにてニューデリーに夕方到着

7月18日 LO(連絡管)を含めIMFでブリーフィング

7月19日 ゴーエアでレーの町に到着(標高3500m)

7月20日 チャーターした車でカルギルに(2800m)

7月21日 ランダムの村に到着テント泊(4000m)

7月22日 アクショーの村に到着、ここから目指すチャンダル山域が見える(3800m)

7月23日 馬、ロバ合わせて10頭と共にトレッキング、標高4150mにベースキャンプを設ける

7月24日 4700m付近まで丘を上がり偵察、予定していた北面は雪が少ないので東面を挑戦することにする。

7月25日 ベース休養

7月26~28日 氷河が始まる5000mに上がり、登攀予定の東壁の偵察含め、下降路の偵察のため南稜の5500mまで上がる

7月29~30日 ベース休養

7月31日 5000mに上がり午後5時には寝袋に入る

8月1日 午前1時30分出発、登攀ギアとして、7×60mロープ、カム×6、ナッツ1セット、ハーケン×7、アイススクリュー×2 それに加えテント、寝袋、コンロ等のビバーク用具を携え登攀開始。氷雪で構成される東壁をロープを使用せず登り続けるが、時暗闇のため時々確認のため立ち止まった。午前5時30分稜線に抜ける。頂上まで標高差300mは少々難しい登攀を強いられた。落石の危険に加え氷、岩ともに脆い場所が現れた。午前9時11分、登頂。雲の隙間から素晴らしい山々が確認できた。

下降は、V字スレッドに加え、幾つかのギアを残置して懸垂し、傾斜の緩い南稜経由で5000mの氷河に戻った。往復15時間

ベースキャンプに下山後、地元の人と話し合い、角のような山の形から、RUCHO この山に名前を付けた。「ルーチョ東壁 標高差1000m TD」

古畑にとっては、昨年のネパール、アビ北壁を敗退していたこともあり、今回のルーチョは最高の思い出になったと思われる。また山野井も久しぶりのヒマラヤの頂に感動した。

(記 山野井)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

佐梨川金山沢奥壁第3スラブ

前から登山体系を見て、行きたいと思っていた、佐梨川金山沢奥壁に植田、遠山で行ってきました。 本やネットの記録を見ても悪いとか支点を受け付けないスラブとか書いてるので、なんだかんだ直前まで天候を慎重に判断。

スラブが苦手な植田さんに大丈夫?と聞いたら 覚悟はあるよ!とか訳分からない返事が・・・。自分が行きたくて誘ったし、 行く気あるみたいだしこんなルート付き合ってくれる人もいないし何よりも2人で飲みに行く仲の良い仲間。自分も覚悟を決め行ってきました。 とにかく、ビレイ点だけはしっかりとしよう!と話し合い、ビレイ点から1ピン取れるのがかなり上になる事なども考慮しショックアブソーバーも持参。 縦ハーケンなどを多目に持ちスラブルートなのを考慮したギアを持って行きました。

初日は5時前に駐車場を出発、暗くなるまで登り残り2ピッチを残して上からの落石の危険が少ない灌木の下で灌木でセルフビレーを取ったままのビバーク。水がないので時間が長く感じる。 植田さんは隣でお祈りポーズをしている・・・。 隣からはまだ30分しか経ってないな〜とビバーク特有のセリフが聞こえてきてなんか笑えた。 途中でのミスがなければギリギリ上まで抜ける事は出来たとも思うがまぁミスはミス。次回への反省として、仕方ない授業料だろう。時間がかかってしまった要因は、支点作りとギアの受け渡し、途中のチムニー手前のピッチでの、2時間近い、2人のミスなど色々な要因があったと思います。 2人での山行は初めてだったのでミスの要因については後ほど話し合いをした。

2日目は4時出発で、オツルミズ沢を経由して、駒の小屋〜駒の湯へ下山。オツルミズ沢は4箇所程、高巻く必要のある滝があり、自分はこんなに雪渓凄いのに滝は何故出てる!と独り言を言いながらも、新潟の山の奥深さに感動を覚えていました。下山で1人で歩いていると登山道の右からガサゴソと音がしたので見るとデカイ熊・・・。奇声を発しながら歩いていると1人だけ途中で会った登山者も熊を見たから一緒に下山して欲しいとの事で3人で下山。

人気のない道、背丈を軽く超える藪、豊富な残雪と標高ではない新潟の山の 奥深さを感じながらも充実感は最高でした。

植田さんと2人きりで登りに行ったのは初めてだったが楽しく充実感のある最高の山行でした。

使用ギア。60mダブルロープ、縦ハーケン、アングルハーケン、縦横兼用ハーケン、ビレイ点用ショックアブソーバー、リンクカム緑、紫、マスターカム0番00番、スリング60、120多数を灌木に使用。その他、リングボルト、ジャンピングは使用しなかったが持参。

富士山火口壁の氷瀑

今夏に計画しているヒマラヤ遠征のトレーニングも兼ねた山行として山野井さん植田さんと共に日帰りで富士山、山頂火口内にある【富士山火口壁の氷瀑 2ピッチ 90m】へ行ってきました。2ピッチ共にリードさせていただきました。やはり高所での影響なのか最後は息苦しいクライミングとなり苦労しましたが充実した山行となりました。

クライミング自体は今時の難しいものではないのでしょうが、標高の高さでの辛さや、気温の上昇に伴い落石の危険がかなり高まる形状だったので終始気が抜けないクライミングとなりました。下山時は前回(5/5)富士山に来た時より表面が固くシリセードもあまりできず、歩きで下山してきました。

【日時】5/9日帰り
【メンバー】山野井、植田、古畑
【場所】富士山 山頂
【参考タイム】富士宮駐車場03:50発~山頂07:00~氷瀑取付き08:30~上部登山道11:00~下山開始11:30~富士宮駐車場13:15

記 古畑


飛騨尾根〜奥穂高岳

久しぶりの投稿ですが、5月3日〜5日まで、岩登り、雪山の殆んど経験のない準会員の大沼君と新穂高温泉〜飛騨尾根〜奥穂高岳〜白出沢〜新穂高温泉に全装備を背負って登りに行ってきました。

去年のAbi北壁での敗退の時から、夏、冬問わずに自分自身を追い込んだ山行をして全ての底力を上げなければダメだ。と痛感していた頃に彼が準会員として来ました。言い方は悪いが話しを聞くと殆んど素人。何回か話しをしていくうちに、会話から眼の奥にある何か強さみたいなものを感じたので、彼の仕事の休みを聞き自分の行きたい場所を告げこの様なトレーニングをこなさいと駄目だと思うけど、頑張れるか?と伝えると頑張ります。行きたいです!と言う。う〜ん無帽な様にも思えるが、ビレイにしろロープワークにしろ厳しく怒鳴っても宜しくお願いします。と言う・・・。

自分もそれなら自分が行きたい場所に一緒に行けるパートナーになってもらおうと思い、今回の山行を決めました。現時点では山行を共にすると全ピッチリードで頼れるのは自分だけ。しかし自分の底力をあげるには凄く良いと思い、色々と自分の思いや考え、この様なトレーニングや山行をしよう!と伝えました。

岩壁の途中でオープンビバークをしてまた何ピッチも登るトレーニングもしよう!などと話してもハイ!頑張ります!と答える彼の視線から時間はかかるかも知れませんが貴重なアルパインクライミングのパートナーへなってくれる事への期待を感じています。

冗談と本気もこめ裏切るなよ!とも付け加え言ったところハイ!なんか笑えて憎めず、青春時代は多分全く正反対の人種な気もするが、山はそんな出会いが起こるのも楽しく不思議な感じもします。

飛騨尾根自体は何処でもピッチを切れるし支点もナチュプロで取れ残置も予想よりは少なく楽しかったです。複数パーティーが入っており大渋滞。自分達は予想通り時間がかかってしまったので途中のコルで幕営。山行全体で面倒を見れるほど偉い立場でもないし実力もないので、相当に怒鳴ってしまったが、大沼君はまた行きたい。と言ってくれ少し安心。自分自身も、もっと力をつけ余裕を持って接してあげられる人間にならないとなぁとも思います。

これからも、もっと行きたい山やクライミングをする為にも自分を高めて行きたいと思います。

なお山行時間は積雪期登攀が初めての経験の彼と行っており最後の下山では何時間も待ちました。足並みの揃った普通のパーティーには参考にならない時間だと思います。

5月3日、深山荘無料駐車場6時出発〜D尾根2500m付近で斜面を整地して幕営。14時30分

4日、6時15分取付きスタート。幕営地到着18時30分。

5日、幕営地5時40分出発〜奥穂高岳6時40分〜白出沢〜新穂高岳温泉到着13時。

 

幽ノ沢中央壁正面フェース

ずっと登りたかった幽ノ沢中央壁正面フェースを登ることができました。
●期間 3月2日(曇)
●メンバー 宇都宮、宮村(無所属)
●時間 駐車場2:40→4:40幽ノ沢出合→6:20取付き6:40→14:15堅炭尾根→17:40出合→19:20駐車場

 職場のクライミング仲間とどこか山に行こうという話をしていたのだが、大氷柱から中二日で少々疲れていた。天気悪そうだし、たまには気楽にスキーでもなんて話にまとまりかけていたのだが、前日の昼になって谷川付近の天気予報が好転。「こちらの都合ではなく山の都合に合わせないといいクライミングは出来ない」という、自分の中の山の掟に従って心と体にムチ打って正面フェースに行くことにする。なかなか繋がらないこのルート、上の雪田から溶け出した水分が凍って形成されるという過程が烏帽子大氷柱と似ていることから大氷柱の発達した年がチャンスと踏んでいた。
 近づくにつれて正面フェースが見えてきた。上部はよく凍っている。下部トウフ岩付近の薄そうな箇所がこなせれば登れそうだ。宮村トップで登攀開始。下部2Pはグズグズの氷雪壁。時折現れる氷に気休めのプロテクションを取る。3P目の核心部分は唯一青氷が出てきてまともなアイスクライミングが楽しめた。そこから先は不安定な雪壁が延々と続いた。5Pはあっただろうか。時折出てくる細いブッシュに気休めのプロテクションを取る以外に頼れるものは何もない。曇ってはいたが気温が高く、右俣リンネを挟んだ対岸では同じような雪壁から雪崩が起きてる。14時過ぎにようやく堅炭尾根に出たときにはつくづくホッとした。βルンゼの降り口の判別に迷い、1時間ほどロスしたが、どうにか明るいうちに幽ノ沢出合まで降りられた。
技術的には難しくないものの、いったん取り付いたら敗退が厳しい、緊張感のあるルートでした。無事に登れてよかったです。

(記 宇都宮)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA