ヒマラヤAbi北壁

期      間) 2016/10/18~11/11
メンバー) 山野井・古畑・遠山
場      所) ヒマラヤ ゴーキョ北側 Mt.Abi北壁

10/18 成田~マレーシア経由~ネパール(カトマンズ)
10/19 カトマンズ滞在
10/20 ルクラフライト~パグディン
10/21 パグディン~ナムチェ
10/22 ナムチェ~ドーレ(近くの山へ高地順応)
10/23 ドーレ~マチェルモ(近くの山へ高地順応)
10/24 マチェルモ~ゴーキョ(ゴーキョピーク手前まで高地順応)
10/25 ゴーキョピークへ順応登山
10/26 レスト
10/27 Abi北壁へ偵察
10/28 レスト(装備チェック)
10/29 レスト
10/30 ゴーキョ~Abi取付き手前キャンプ地
10/31 Abi北壁アタック~5650m付近~5500m付近でビバーク
11/1  5500mより下降~キャンプ地~ゴーキョへ
11/2  ゴーキョ滞在
11/3  ゴーキョ~ドーレ
11/4  ドーレ~ナムチェ
11/5  ナムチェ~パグディン
11/6  パグディン~ルクラ
11/7  ルクラフライト~カトマンズ
11/8  カトマンズ滞在
11/9  カトマンズ滞在
11/10   カトマンズ~マレーシア(トランジット)
11/11   マレーシア~成田

2016/10/18~11/11までの25日間でネパールヒマラヤへ山野井さん・古畑・遠山の3名で。古畑、遠山にとっては初めての海外・初めてのヒマラヤ、もちろんパスポート取得も初めてとなる今回・・・遠征が決まったのは2016年3月に3人で行った八ヶ岳の帰りの車中。それから10/18までの期間、ランニング、クライミング、数度にわたる富士登山と充実したトレーニングをそれぞれが行いあっという間に出発の日を迎えた。

10/18出発その日付のうちにカトマンズ入り。よくわからないままホテルへ。
10/19もろもろの準備のために町にでる。埃とクラクションの鳴り響き海外なんだと実感する。食べ物もお腹を壊すと聞いていたのでどうしても慎重になる。10/20ルクラへのフライト。これはこれである意味怖い。ポーターを2名雇う1日1人2000円以下の金額。初日はパグディンまで歩く。10/21パグディンからナムチェへ行くにつれて、景色はよくエベレストが見える。ヒマラヤに来たのだと実感する。10/22ドーレに入る。ここでは既に標高が富士山を超えていて古畑・遠山共に少しずつ高度を感じる。10/23マチェルモに着くころには高山病の症状も出てきている。ガイドのネパール人と山野井さんは問題なし。10/24ゴーキョまで古畑・遠山の2名はゆっくり歩くことにして遅れてゴーキョ入り。10/25ゴーキョピークからの眺めは素晴らしく今回の目標であるAbi北壁に西面が見える。翌日26日は体を休めるいよいよ27日はAbi北壁への偵察。10/27朝早くから偵察へ向かう。ゴーキョから北へ2時間、モレーン横断に2時間強、Abi付近まで2時間合計6時間以上でモレーンの上り下りだけでも慣れない2人には苦しい。肝心のAbi北壁は日本で調べていた状況と比べるとかなり雪が少なく想定していたラインを少しずらして登る可能性などを確認してゴーキョへ戻る。ゴーキョに戻ると偵察だけにも関わらずかなり疲労した。しかし登るんだ!という気持ちは高まった。28,29日はレストで体をゆっくりと休めるが筋肉疲労の回復は遅い。
偵察の結果、荷物を更に減らすため食糧を減らすことに。

30日ガイドにモレーン入口まで同行してもらいキャンプ地へ向かう、ここまで登山靴を運んでくれたガイドに握手、遠山、戻ったら町で酒を飲む約束を交わしている。
山野井さんは偵察時に設置したケルンに従い着実に歩を進めるが、歩きにくいモレーンであることに変わりなくキャンプ地につくとそれなりの疲労感を感じる。
疲労感からいって初日に5800mまで古畑・遠山で届かせて翌日、山野井さんで登頂を目指すのがベストではないかと思う。
テントを設置し古畑・遠山で1張、山野井さん1張、寒くとても寒い夜で薄いテントの山野井さんは、ほとんど眠れなかったようだ、古畑・遠山も暖かいダブルブーツのインナーがモレーンの歩行で汗をかき冷たくてたまらない。。。
31日朝3:0起床、テントをたたみ5:00出発、6:30頃にはガレ場を登りきり1ピッチ目の岩場を古畑リード、上部は傾斜の緩い雪で一度ロープを解除して、登りやすいラインを上がる。多少傾斜も増してきたがロープなしで上がり9:00、2ピッチ目を古畑リードし5450m付近へ到達。その後遠山リードへ11:00頃3ピッチ目トラバース、4ピッチ目に氷のセクションと優しい雪面、このあたりから難しい数メートルがあったかと思うとしばらく優しいダラダラした傾斜が続き思ったように標高を稼げない・・・遠山、全力を尽くしているようで一歩一歩が苦しそう・・・古畑もフォローでも苦しくなってきた。時間はすでに14:00、山野井さんからも今日リード交代してしまうと疲労から明日苦しく登頂できない可能性が高まると言われるが、その事はよくよく理解しているため、遠山更に1ピッチ伸ばすも苦しい。
ここで敗退を決断。決めた途端に古畑・遠山は涙が溢れだす。
悔しい。
5500m付近にビバーク適地があったものの、上部での可能性と敗退用支点を見出すべく山野井さん1ピッチ上がる。このまま5800mまで進むとしてもあと4時間は必要だろうと判断。16:50に敗退開始し5500mビバーク適地でテントを設置、適地とはいえもちろん横になることは出来ずロープで互いを結びあってテントの中で座ってビバーク19:00。ウトウトして朝5:00下降に向けて動き始める。山野井さんによる的確な支点工作により数ピッチにわたる懸垂下降で12時半キャンプ地へ到着。
たった2日間の登攀とは思えぬ疲労感から倒れこむよう横になる。数時間体を休めた後、ゴーキョへ向けて出発する。ゴーキョへ着いたのは何時だろうか?ガイド、やロッジのオーナーが異常に優しい・・・よほど疲れた顔をしているのだろう。
疲れているはずのその晩、古畑と遠山は興奮しているのか寝付けず夜遅くまで話しをする。
翌日朝は当然起きれず。
この日を休養にあて翌日11/3から下山のためドーレへ向かうが山野井さん遠山の体調が悪く、特に山野井さんの状態は酷く辛そう。2日間の登攀で皆ボロボロになっている帰路次第に山野井さんの状態が良くなると古畑が体調不良、結局ネパール滞在中はずっと疲労感を感じたままだった。11/8にはカトマンズへ戻り、ちょっとした観光などをしたのち11/10の飛行機でマレーシア、11/11成田へと戻ってきた。
結果は敗退で、今思い返しても悔しいが、とても充実した時間、素晴らしい経験を積むことができた。当初から話しをしていたのだが金銭もシンプルに行いたいという思いもあらかた叶った。素晴らしい25日間だった。

参考・2016/10時点で1ルピーは約1円
カトマンズでペットボトルのコーラ約70ルピー/炒飯150ルピー程度か
エベレスト街道では上にいくほど値段が高くなるが炒飯500ルピー程度
今回の飛行機代・保険・ビザ代・食費全て含め約30万/1人

(記)古畑

ヨセミテ

期間 2016年9月19~28日

メンバー 植田 他3名

9月末に職場の仲間達とヨセミテに行ってきました。

この時期のヨセミテは昼間と夜の気温の差が激しく日陰を求めてのクライミングでした。8日間の間ショートルートとマルチピッチを何本も登りましたが、お目当てのOuter LimitsとCentral Pillar of Frenzyが登れたので良かったです。今回、海外でのクライミングは初めてでしたが、クラブの先輩方のアドバイスや一緒に行った仲間達のお蔭でかなり充実する事が出来ました。有難うございました。

参考までに US$=100円、キャンプ4テントサイト 6$/人。

imgp2852Outer Limits

kimg0328Middle Cathedral Central Pillar of Frenzy

赤石沢奥壁・Aフランケ

久々に本チャンへ行ってきたので報告です。

期間:10月15日~16日
ルート:奥壁中央稜・Aフランケ同志会左フェース
メンバー:宇都宮、T君(準会員)
10/15 快晴 朝-1℃昼16℃ 2:00竹宇駐車場==9:00 八合目岩小舎==11:00奥壁中央稜==17:00頂上==18:00岩小屋
初日は左ルンゼを登る予定だったが、往きの車中でT君が山でのマルチピッチは初めてと知り、さすがに左ルンゼは・・・となり中央稜に計画変更する。中央稜となると途端に気楽になる。黒戸尾根の長いアプローチを黙々とこなし、11時頃に中央稜に取り付く。夏も冬も登った筈だがほとんど覚えていない…。ボケたかな。ルートが判然とせず時間がかかり夕方に頂上へ。お蔭で(?)綺麗な夕日が拝めたのはよかった。岩小舎は相変わらず快適で満月が綺麗だった。
10/16 快晴 朝3℃ 昼15℃ 5:40岩小屋==6:30同志会左フェース取付7:00==15:00終了点==16:00岩小舎16:30==20:30竹宇駐車場
「同志会左」。なんとシブいネーミングだろう・・・。前から憧れていたが、どうも登る機会を得ないうちに徒に時が経ってしまった。このままだと登らないうちにおじいちゃんになってしまいそうなので、今回T君に無理言って登らせてもらった。さて、ルートだが、行く前はフリーの難しいルートというイメージだったが、実際に登ってみると極力フリーで攻めてダメなところはしっかりA1の人工登攀で繋げたルートという印象。割合としては易しい人工6割+きわどいフリー4割?。ちなみに人工部分のリングボルトはすべてしっかり根元まで打ち込んであり、この辺りはさすが山学同志会という感じ。3P目のA1後のルートファインディングで迷ってしまい、えらくタイムロスしてしまった。T君は本チャン2本目にしてこの難ルートを卒なくフォローしてくれて15:00に無事登攀終了。岩小舎の荷物を撤収し、20:30頃に下山完了。充実の週末でした。

その他、最近のフリーの成果
10/6 十一面岩末端壁 「フリーウェイ」
上からトップロープで探ったりせずに下からきちんと怖い思いをして登ったこともあって充実しました。下部アストロドームは限定なしで登ったので11c/d位? 3トライ。
10/24 バベルの塔 「ロデム」
核心部分が濡れてることが多く、苦労しましたが、この日は秋晴れの絶好のクライミング日和で核心部分もカラカラに乾いてました。これでバベルの塔 クラック3部作は完登。下部ワイドから解放されてホッとしてます。通算3日6トライ。

(宇都宮 記)
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↑ 同志会左フェース3P目
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↑ 瑞牆山 ロデム(5.12a)

スコーミッシュ

竹内さんと職場の友人2名とでカナダのスコーミッシュへ行ってきました。
期間:9/19~9/25
メンバー:竹内、宇都宮、他2名

この時期のスコーミッシュは雨が多いらしく、5日間のうち2日雨にやられましたが、壁の乾きが早いので降った翌日にはすぐに登れるエリアも多く、しっかり登ることができました。印象としてはフィンガークラックのグレードが辛い印象でした(5.10b位でも結構冷や汗モノのルートもありました)。個人的には今回の目当てだったThe Chiefのマルチピッチ「The Grand wall(5.11a、A0)」がそこそこのスタイルで登れたので満足です。「せめてあと10日あればねぇ・・・」というのが帰国の途でのみんなの感想。

<参考データ>
・1CA$=78円
・バンクーバー~スコーミッシュ間は車で約1時間30分
・キャンプ場:アリスレイクキャンプ場(森の中にある静かなキャンプ場。スコーミッシュから車で約10分) 1サイト大人4人まで@10$/人
・ガスカートリッジはスコーミッシュ街中にある山道具屋で手に入るが、スーパーには売ってない。
・コピー機は日本のようにコンビニにないのでマルチのトポなどは日本からコピって行くとよい
・スーパーの駐車場やinfomation centreではフリーwifiあり。
・ロープは60mでOK(50だとルートによっては厳しいかも)。

(宇都宮 記)
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↑Smoke BluffsのClimb&Punishment(5.10d) これはオンサイト。
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↑The Chief全景
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↑The Chiefの看板ルート「The Grand Wall」 の4ピッチ目split pillar
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↑The GrandWallの6ピッチ目Perry’s Layback(5.11a)
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間ノ岳・野呂川荒川細沢

期間:7/4~7/6
メンバー:山野井・古畑・遠山

ヒマラヤへ向けたトレーニング山行として南アルプスへ。
7/4(月)
芦安駐車場から5:50発広河原行きバスに乗り込み鷲住山登山口で6:30下車、登山口から少し登ると野呂川発電所へ向けての下降、橋を越えトンネルを抜けるとアイスクライミングでお馴染みの荒川出合。しばらく進むと林道は終わり堰堤手前(8:00)で沢靴へ履きかえる。
堰堤を写真に見える梯子を登ったが、これを登ると下りは立て掛けてあるだけの怖い梯子…怖いね~などと話していると、工事現場の方が堰堤左側を普通に歩いている…
もうひとつ堰堤を越え、北沢をやり過ごすと右手に熊ノ平への踏み跡があり、テープ、ロープに導かれ熊ノ平~細沢取水口、ここが細沢の入渓点。
事前に知り得た情報では綺麗な沢をイメージしていたが倒木の多さに驚きつつ倒木の合間を縫って登ると2段からなる細沢大滝へ(10:00)ここは右側を高巻くが棘のある植物が多く歩きにくい。沢に戻ってからも水量、倒木共に多く直上することが困難なことが多く巻くことが増す。それでも沢を歩いている時は雪解け水の冷たさを感じながら後ろには富士山が大きく見えて気持ちが良い。しばらく歩くとガレた登りで水が枯れる前に水を補充し間ノ岳を目指す。
モレーン手前から急に天候が悪化しあっという間に大雨に。だいぶ疲れが出てきたが山野井さんだけは全く問題ない様子。遠山さんが「山野井さん疲れてないのですか?」の質問にも「足が痛いよ。凍傷で切ったところが」いやいや僕らが尋ねたのは疲労のことですが…雨風共に強くなってきた頃に間ノ岳直下でテント16:00設営完了。

芦安バス5:50~鷲住山登山口6:30~荒川出合道路終点先の堰堤8:00~細沢大滝下10:00~間ノ岳直下テント設営完了16:00

堰堤前

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7/5(火)

朝起きても(3:30)天気はいまひとつ(4:30)に出発し間ノ岳山頂(4:45)北岳山荘を過ぎ北岳へ(7:00)八本歯のコルから大樺沢、北岳バットレスへの取りつき付近で休憩しながら今後の予定を話しあう。当初の予定では5尾根から下部フランケ、Dガリー奥壁だが天気に不安もあり体力的にも辛い。4尾根なら…と、いや他の沢へ継続か縦走か…悩んでいると深いガスが一瞬晴れてバットレス下部が見えた「4尾根に行こう」と気持ちが高まり準備を整え5尾根取付きへ。期待に反してかなりコンディションが悪い。山野井さんがリードした1ピッチだけで状況の悪さから敗退。悔しがる山野井さん。気持ちが高まっただけに遠山さんも悔しそう。北海道の時もそうだったがグレードに関係なく悔しさを表わす姿に山に対する思いを感じる。
敗退を決め下山していると雨。広河原に戻り最終バスまでの間、河原に下りてボルダーで遊ぶ。

7/6(水)
奥多摩の山野井さん宅に泊まり朝から山岳史話しで盛り上がり、田代さんと合流後、白妙橋へクライミング&ボルダーへ。

記 古畑

東鎌尾根~大槍東面・赤沢山針峰フランケ中央チムニー

・期間 5/1~5/3
・メンバー 山野井、古畑、遠山

秋のヒマラヤ遠征へ向けたトレーニング山行としてGWを利用して北アルプスへ
5/1(雨・曇り)天気は良いと思い乗り込んだ上高地は雨。
まずは当初の予定を見直すことに。
新たに計画を上高地~水俣乗越~槍ヶ岳東面の岩~ババ平~赤沢山へ初日雨のぱらつくなか水俣乗越へ時間には余裕があったがこの後の天候に不安を感じ乗越手前の岩の下で泊まることに。

水俣乗越手前

水俣乗越手前

5/2(晴れ)朝5時過ぎにはテントを発ち東鎌尾根を進む。非常に気持ちの良い尾根。
東鎌尾根末端より下降し山野井さんリードにより大槍東面より脆い岩を繋ぎ最後、北鎌尾根の最終ピッチへ合流して11:20に山頂、槍沢下降。その晩、古畑遠山は練習のひとつとしてハーネスを付けたまま吊り下げオープンビパーク。

東鎌尾根

東鎌尾根

東鎌尾根

東鎌尾根

大槍東面登攀ライン

大槍東面登攀ライン

5/3(晴れ)天気が崩れるとの予報から赤沢山針峰フランケ チムニールートへ。古畑リードで1ピッチを行くも、脆い脆い。フォローをビレイ中三番目に登攀していた山野井さんにアクシデント。頭大の石が自然落石し、これが右肩付近へ強打。1ピッチで終了として下山。

残念だったことは天気と予期せぬアクシデント。しかし大槍東面、赤沢山針峰と、どちらも脆い岩を残置無視して登りオープンビパークなど取り組みたいことは実践できた。個人的に改善すべき点をこれからのトレーニングで取り組みたい。

針峰フランケ中央チムニー

針峰フランケ中央チムニー

記  古畑

白馬岳主稜

山行日:4月20日(水)

メンバー:植田、H

 

19日21時半に都内を出発し、24時二股駐車場到着。テントにて就寝。

7:00 二股出発 → 8:00 猿倉山荘 → 9:00 白馬尻

9:30白馬尻出発 → 18:00 山頂 → 23時二股駐車場到着 → 翌3時都内へ帰着

 

当初、初日は6峰あたりでテン泊、21日に登頂し下山する計画だったが、

21日午後から荒天の予報となったため、少なくとも4峰まで進み、翌日午前中には下山することを目指して歩き始めた。

白馬尻から稜線を見ると、去年おなじ時期に来た時よりも雪が少ない。

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8峰への登り。暑くて汗だくになりつつ進む。

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露出したボロボロの岩を登る

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ひたすら雪の峰を越えていく。

4

最後の雪壁が見えてきた

5

15時半に4峰到着。

ここで幕営するか頂上まで抜けてからにするか協議。

余力があったのでとりあえず頂上まで抜けることに決定。

その後、3峰でさらに急峻な岩露出部分が出現。

これまでの箇所よりかなり脆かったので、念のためロープを出す。

そして55mの雪壁を登り、頂上へ抜けた。

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頂上へ抜けるとものすごい強風。「ヤマテン」を確認すると風速19m、さらに強くなる予報。

白馬山荘まわりに風がよけられる場所を探すが、どこも吹き荒れていたので幕営せず、そのまま下山することに。

月に照らされた、明るい雪渓をくだって帰ることができました。

記 植田

前穂高岳北尾根

3月下旬に山崎・宇都宮で前穂高北尾根に行ってきました。春分の日とあって混んでいるかと思いきや貸切りでした。
●期間:2016年3/19~22
●メンバー:山崎、宇都宮
3/19 雨
坂巻温泉6:30~釜トンネル7:00~八峰手前(2450mコル)16:30
雨の入山。分かってはいたが、やはり不快だ・・・。靴の中までグチョグチョ。気温が高い上に雨とあって谷という谷で雪崩が起きている。いつ聞いても嫌な音だ。慶応尾根は上部で思いがけずキノコ雪のギャップが出てきたりして意外と悪かった。八峰まで届かず幕を張る。
3/20 快晴
八峰手前(2450mコル)6:00~八峰8:20~4・5のコル18:00
天気予報通りの快晴。脛からヒザくらいのラッセルが続く。7峰のトラバースからはロープを出す。傾斜の強いブッシュ登りや悪い雪壁登りが出てきて結構緊張させられた。時間がかかり、予定の3・4のコルまでは行けずに4・5のコルで幕を張る。
3/21 快晴
4・5のコル6:00~前穂高岳頂上14:30~明神岳手前のコル16:30
今日は4峰、3峰の登りが出てくるクライマックス。岩は節理が発達していてカムでプロテクションが取れるので、下半部の不安定な雪壁に比べればよっぽど安心だ。3峰では最高の景色の中、快適なクライミングを楽しむ。やはりアルパインクライミングはいい。14:30前穂頂上着。慎重に下り、明神岳手前のコルに適当な窪地を見つけ幕を張る。
3/22 快晴
明神岳手前のコル6:30~明神岳~水呑沢~上高地~坂巻温泉14:30
連日の好天についに眼が悲鳴を上げる。雪目がこれほど辛いものとは‥。涙をボロボロ流しながら歩く。明神2峰の登りは左の凹角に移るトラバースがいやらしかった。明神岳南西稜を下る予定だったが厄介なので、岳沢に向かって落ちているルンゼ(水呑沢?)をスタコラ下る。見込み通り雪の状態もよく悪いところもなく岳沢に着き、上高地へ。
シーズン最後をいい山登りで締めくくることが出来てよかった。
(宇都宮 記)
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谷川岳馬蹄形縦走

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2月の下旬に一人で谷川岳の馬蹄形縦走をしてきました。ぎりぎりの日数とぎりぎりの食料でたった一人、エスケープルートの少ない山の奥へ奥へと入っていく緊張感はなかなかのものでした。
2/26 晴れ→吹雪 6:30指導センター~13:30谷川岳~16:30茂倉岳小屋
天気予報が外れてくれて快晴の西黒尾根を歩きだす。前回1月下旬に来たときは4時間で上がれたが今回は雪が多く7時間かかってしまう。稜線に上がる頃には吹雪になった。視界がなくなり、道標に書かれた52m先の頂上小屋すら見えない状態。先行きに不安を覚えるが、休憩した小屋で見つけた誰かの忘れたクリームパンを食べたら元気が出てきた。計画続行。ほとんど休みなく10時間歩き続けた末にたどり着いた茂倉岳避難小屋は雪でほぼ埋まっていた。夜通し風雪。除雪2回。
2/27 晴れ→吹雪 6:30~12:00清水峠12:30~17:00朝日岳手前
昨晩は風が強くあまり眠れなかった。今日は弱い高気圧に覆われて晴れるはず。武能岳を越える頃には予報どおり快晴になる。上越の山々が遠くまで見渡せ、来てよかったと思う瞬間だ。所々クラストした稜線を快調に飛ばしていたが、蓬峠で片方のワカンが真っ二つに壊れてしまった。補修できるレベルではない。嘆いたところで始まらないので片方だけで歩くことにする。清水峠からの登りで天気が崩れ始め、風が出てきた。立ち止まると一気に体温が持って行かれるのでスピードを落として休まず歩き続ける。吹きさらしの稜線ではテントの張りようもなく、ハイ松帯に洞穴を作って一晩の宿にするかとも思ったが、朝日岳周辺まで行けば地形が複雑だから風も避けられると踏んで進み続ける。陽が落ちる少し前、風を避けられる恰好の窪地を見つけた。よかった。
2/28 霧→晴れ 7:45~11:40白毛門~12:45土合登山口
朝起きるとガスの中。今日中に降りられるのは確実だし晴れてくるのは分かっていたので、ガスが晴れるのを待って出発する。快晴の中、対岸の一ノ倉沢を眺めながらのんびりと下山する。昼過ぎに土合着。
(宇都宮 記)

八ヶ岳 真教寺尾根~赤岳~県界尾根

日時:2/27-28 (前夜発)
天候:晴れ -13℃くらい
メンバー:山崎
2/26
金曜日、週末の予定がインフルエンザの流行のため中止になり、来シーズンになるかもしれないと思っていた計画を、急きょ実行することにしました。
昨年冬、八ヶ岳西面、赤岳~硫黄岳縦走が叶ってから、次はと思っていたルート。
金曜夜、急いでパッキング。持ち物リストは作っていたものの、家の始末などもあり出発が遅くなる。美し森、たかね荘の駐車場に着いたのは日付の変わった1時半。
寝不足の状態でルートにも自信のないハードな行程を行くのは怖いと思い、明日はゆっくり起きて核心部手前で幕営、たっぷり休んで明後日、真教寺尾根核心部を越えて赤岳頂上、県界尾根を下りることにしようと決めると、緊張が少しほぐれ、車中眠りにつく。
2/27
7:00起床、雪の状態からワカンは不要と判断して、車に置いていくことにする。
8:00出発、9:30牛首山。扇山を越えて、なるべく前進したい。テント適地を頭にいれつつ、翌朝の不安を減らすために適地の少し先までトレースを付ける。
13:00天気予報通り、風が強くなってきた。2400m付近の平坦地まで戻り、風を避けるため斜面を下り、少し均して幕営。一人で雪から水を作ったのは初めて、アルファ米の夜ご飯も誇らしげ。
17:00就寝 夜中、20mを超える風が唸るように吹き荒れ、音と寒さに何度も起こされた。弱気になって、風敗退の暗い想像がちらつく。
2/28
4:00起床、6:45風が収まってきた、明るくのんびり出発
予定では8時には核心部まで行けると思っていたのに、モナカ雪の膝上のラッセルでペースが落ちる。ワカンを置いてきたことを後悔。それでもクラブの先輩のテクニックを思いだし、四つん這いでそっと体重分散させながら登る。2本のピックと、両膝、アイゼンで、雪を壊さないように這いあがる、息はあがるけれどワカンより断然早い。ペースが上がった。
上部の核心部を見渡せるところでは、どのラインを取ればいいのかじっくり見つめて、ポイントになる目標物を頭にいれる。これもクラブの先輩に質問して教えて頂いたことだ。
9:00やっと核心部の露岩帯。ソロのシステムはよくわかっていないので、ロープは持ってきていない。計画をしたとき、ロープなしでは怖いと思ったらここで敗退しようと決めていた地帯だ。
背後が切れ落ちた形状にドキドキする。単独の登山者が下山中、シュルンドに滑落したというのもここなのかな・・・。
ルートが合っているのかも自分には定かでないけれど、尾根の形状からして、ここ以外考えられない。少し怖いけど、行き詰って落ちるような難しさではない。クライムダウンも可能だ。上にあがればはっきりわかるかもしれない。よし、行こう。
ときどき雪の下からのぞく鎖はルートが間違っていない証拠として安心できた。
2度のトラバースも鎖は完全に埋もれていて、ここをフリーでトラバースするのかと心臓がバクバクする。以前、雪壁で、アックスの刺しが甘いとクラブの先輩から注意していただいたことを思い出す。雪面に確実にステップを作り、ダブルアックスを深くつき刺す。一歩一歩確実にすれば、怖くない。
10:00キレットからの縦走路分岐まで出たときは、達成感で感動したものの、今日の仕事の半分が終わったという気分。下降はどうするか、同ルートは避けたいけれど、目標の県界尾根は厳しいのだろうか・・見てから決めよう。
10:15赤岳頂上、賑わっている。一応、嬉しいけれど、今日は通過点という感じで心ここにあらず。
10:35風を避け頂上小屋裏で一休みしたあと、自分に本当に県界尾根が降りられるのか、尾根全体を見つめながら自問自答。資料、地図を再度確認して、降りることに決める。
下山道入口には「残雪期、滑落遭難多数発生、単独者、装備不足者、県界尾根下山禁止!(ドクロマークの絵)」の看板、気持ちがぐらっと揺らぐ。でも真教寺尾根をしっかり登ってきたのだから大丈夫、行こう。
下り口は急ながらもトレースがあり、ほっとしてしばらく追う。途中からトレースが左に行きすぎている気がしてきた。県界尾根の森林限界下へ行くにはそろそろ右にトラバースしたほうがいい気がする・・。
立ち止まり、地形を見つめて迷った末、判断。トレースを無視して右へ右へ。斜面を見上げる、雪崩れるような雪質ではない・・・。人の歩いた跡のない雪の急斜面を横切り、続いて膝上までのラッセル、下りだから良いものの、もしルートを間違えていたら・・・。登り返しは大変だ。
深みにはまっていくようで段々怖くなる。進退きわまって日が暮れてゆく最悪な想像をする。いや、この規模の山だ、間違えても今日中に修正できるだろう・・・。それでもドキドキして立ち止まり、樹林帯へと続く尾根の形状を見つめる。やはり、この方向しか考えられない。自分を鼓舞するように、深雪にもがきつつ急な小尾根を越えて進む。
先が切れ落ちて見えない斜面が前方に現われ、不安がピークに達したころ、正しいルートであることを示す小さなプレートが見えた、その下には核心部を示すハシゴの頭がのぞいている。
合ってた!合ってた!と声に出して喜びながら、ハシゴの埋もれてしまった雪壁をダブルアックスで慎重に降りていく。この2日間で一番嬉しかった時。
傾斜の落ちた樹林帯にたどり着いてほっとするも、また膝上までのラッセル。今度は横移動のためペースが落ち、ワカンがないことを再び呪う。
しばし雪と格闘してほどなく昨日のものと思われるトレースが現れ、その後はだいぶ助けられました。
12:35大天狗を越え、14:00小天狗分岐、15:30スキー場入口、16:00たかね荘駐車場
八ヶ岳の一般ルートですが、小心者の私にとってはバリエーションに匹敵する難しさと楽しさでした。小さな計画ながらも、自分の力の全てが発揮されるような感覚に、心躍りました。
でも、もし視界が悪かったら・・・。もっと寒く、風も強かったら・・・。
なにより天候、条件に恵まれていたことを痛感します。
クラブの先輩方と共に行った多くのバリエーションルート、その中で教わったことや与えられた経験が、ひとりの自分を守ってくれた山行でした。
(山崎 記)
KC4D0041

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