谷川連峰 エビス大黒沢 渓谷登攀

日程:2025.9.22-9.23

行程:
 1日目:谷川温泉〜金山沢出合
 2日目:出合〜登攀〜エビス大黒の頭〜登山道下降〜谷川温泉

メンバー:山本・鈴木(拓)

筆者にとって今年最後の沢登りとなったエビス大黒沢。下山はリミットの20時をギリギリ越えない範囲だったものの、予定より大幅に遅れた。登攀はどの滝も難しく、高巻きにも手こずった。登る壁を間違えて一度撤退した箇所もあった。

初日は夜に入山して適地で幕営。明日に備えた。

登攀日、暗いうちからロープを出して登り始め、薄明るくなってきてから開けたスラブに出会った。

関門の滝。ここはフリーで超えた。快適なスラブ。左岸から登ろうとしたが、かなり悪い。少し戻って右岸から上がった。沢登り・フリーの山本が頼りになる。

日が登ってから最初のロープを出したクライミング。鈴木が1P目を登る。逆層がとにかく悪い。一箇所細かいホールドを掴んで乗っこすところが緊張したが、トーテムカムの黒が登れとせかした。

2P目は山本がリード。その後、二本足で歩ける場所へ降り立った。と思う。あまり覚えていない。ぐんぐん登ると、沢が開けた先に、どでかい大滝が現れた。

この滝は登らないが、右の岩壁を山本がトラバース気味に右上。ピトンを4枚程度、カムも使用して登り切った。一時間ぐらいかかった。ビレイ中は左の滝飛沫を浴びて寒かった。フォローで自分は登るが、一歩踏みだすたびにズルズルと足が沈んで滑る泥壁・・・クライミング的にはここが核心部っぽい。(山本は次のピッチの方が怖いと言っていた)。

2P目は鈴木がリード。再び滝の方角へ左トラバース。濡れたスラブのトラバースは怖いが慎重に。その後クラックや木登りを交えて灌木帯へ。ロープいっぱい伸ばしてビレイ解除。

フォローの山本を迎え、とにかく終わってよかったと言い合いながら、しばらく高巻き。一箇所、肩車で滝を越える場面もありつつ、懸垂下降で本流へ降りた。

最後の壁、右壁を登り出すも、どうも悪い。カムを決めてエイドを使って立ち上がって先を見渡してもめぼしいホールドはない。敗退か・・・ビバークも頭を過ったが、なんとか右岸から高巻きできそう。

検討通り、懸垂下降のち、右岸を高巻き。いつまで続くか分からない背丈以上の笹藪を掻き分け、本流の左俣に入った。右俣に抜ければ稜線まですぐなのだが・・・仕方ない。そのまま稜線に向かって歩く。尾根っぽいところに出てから、さらに標高を上げる。

ようやく安全地帯まで来られた。ただここからもわかりにくい下山路が続いた。GPSには助けられた。

もう2度とこの沢には来ないだろう。ただ、生きていることの大切さを噛み締めながら、帰路についた。名声はいらないので、小さな幸せを求めて、これからも沢登りを続けたい。