衝立岩正面壁 雲稜(第一)ルート

谷川岳 衝立岩正面壁 雲稜(第一)ルート
日 時 2015年 6月13日(土)~14日(日)
登攀者 遠山学 塚田尊明
スタイル 人工登攀

1P 25m Ⅴ 塚田リード 6:00
[二人用テラス]
アンザイレンテラスから左の凹角を登る。ボサまじりで悪い。実力をわきまえ迷わずA0。二人用テラス下あたりの岩が脆い。

2P 40m Ⅳ A2 遠山リード 7:00
[第1ハング]
壁全体が脆い。どの岩も浮いている。第1ハングのアブミ動作は、足は壁に届くが、体感的には空中のアブミの掛け替えに近い。アブミ技術では、全ピッチの中で一番難しく、体力を使う。

3P 40m Ⅳ A2 塚田リード 9:00
[第2ハング]
第2ハングを越すラインは、ハングの切れ込んだところの側壁を直上するように登る。第1ハングより優しく感じる。しかし長いピッチであった。

4P 15m Ⅳ A1 遠山リード 13:00
[左上トラバース]
ルート図では30mのピッチだが、ロープの流れを考え15m程左上した凹角の入り口で切る。そこはビレイ点らしくなっており、ハーケン、ボルトが固まって打たれていた。しかし、そのビレイ点の岩ごと浮いている。

5P 15m Ⅳ A1 塚田リード 14:00
[凹角の直上]
とても脆い凹角。ランナーを取るが強度は如何ほどのものか。ビレイ点が浮いているという精神的恐怖。できるだけプロテクションをたくさん取って行った。

6P 30m A1 遠山リード 15:30
[第3ハング]
第3ハングを越えるピッチ。フリーと人工が混じり総合的に一番難しかった。
遠山氏の渾身のリードであった。

7P 40m Ⅳ+ 塚田リード 18:00
[湿った溝状部]
草付きと泥の溝状を登る。傾斜は緩くなるが、残置支点が少ない。逆に言うと落ちられない。日も沈み、あたりが薄暗くなる。ホールド、スタンスが見えなくなる前にと、走るように登る。

8P 15m A2 遠山リード 19:00
[洞穴ハング]
洞穴ハングですっかり暗くなる。ヘッドライトを点け残置支点を追うような登攀となる。残念ながらローケンションは黒一色。しかし夜間登攀という貴重な体験でもあった。暗闇に揺れるアブミ、アルパインに酔う。

9P 30m Ⅲ 遠山リード 20:30
[チムニー]
チムニー状なのか、ライトの灯りでは傾斜も形状も認識しづらい。塚田のピッチであったが恐れをなしてリード出来ず。実力不足に意地を張らず(泣いてお願いして)、遠山氏にトップを譲る。

10P 40m Ⅲ 塚田リード 21:30
[草付きと岩の緩傾斜帯]
二人とも雲稜ルートは初見。衝立の頭までのルートがよくわかない。ヘッドライトで照らすも、踏み跡なのか判別できない。とにかく駆け上がる。先が分からないので、40mほどロープを伸ばし灌木でピッチを切る。雷がゴロゴロ鳴る。

11P 10m Ⅲ 遠山リード 22:10
[衝立の頭]
10P目の終了点からわずかで衝立の頭であった。リングボルトも2本打たれていた。10P目のスタートから50mいっぱいと言ったところだ。

時は22時30分。各駅停車で行く16時間30分の長旅であった。
無事で何より。欲を言えば日の出ているうちにゴールしたかった。
下降は明日にして、衝立の頭でビバーク。カッパを着てツエルトをかぶり寝ころんだ。

[ギア]
実際にランナーもしくは前進として使用したギアは、ヌンチャク20本、 スリング20本、 カラビナ20枚 、ハーケン4サイズ、 ストッパー♯1から♯6、 エイリアン黒、青、緑、黄色、赤 、キャメロット♯1、♯2 、リンクカム赤、黄、 スカイフック、 3mmシュリンゲ。

持参したギアは上記以外にも、他のサイズのカム類、他のサイズのハーケン、ボールナッツ、ラープ、バードピーク、リベットハンガー、コパーヘッド、ジャンピング、リングボルトなどを持参した。

ロストアローなどの厚めのハーケンが欲しいと思った。

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(塚田記)